滞在型リゾートにふさわしいコースに必要なものは何か?将来的にトーナメントの開催を視野に入れた場合、何が求められるのか? ネムゴルフクラブのリニューアルプロジェクトは、そんな問いかけから始まりました。
滞在型ゴルフリゾートに求められるものを複数のゴルファーに尋ねたところ、 「ラウンドの前後に、じっくり練習をしたい」と言うカップル、「子供にゴルフを教えて、コースデビューさせたい」と言う親子、「家族と一緒の時間を大切にしたいので、せめて練習だけでも」と言うエンジョイゴルファー、「短期間のゴルフスクールを受講したい」と言うアスリートゴルファーなどの要望がありました。
こうした多様な過ごし方の要望に応え、かつ将来的なトーナメント開催も視野に入れたコース改造を計画するため、女子プロゴルファーであり、日本女子プロゴルフ協会会長である小林浩美氏にコース監修を依頼しました。
「滞在型ゴルフリゾートを目指すならば、練習場の充実にこだわるべきです。トーナメントを視野に入れるならば、ドライビングレンジはボールの落下地点がわかる飛距離と、芝の上から打てる打席スペースが必須。それと様々な状況のショートゲームが本格的に練習できるスペースがあると望ましい。」
小林氏から真っ先にいただいたアドバイスも、練習場に関するものでした。そこでまずは、時間を気にせずゆっくり過ごせる練習場、トーナメントの開催も可能な練習場の整備をおこなうことを大前提とし、コース改造をスタートさせました。
以前の合歓の郷ゴルフクラブにもドライビングレンジはあったのですが、150ヤード程度で防球ネットに囲まれているため、ボールの落下地点はわからず、人工芝の打席しかありませんでした。
助言に基づき、様々なパターンを模索して練習場の拡張を試みたものの妙案は生まれませんでした。そこで、コース設計の専門家に最善の解決方法を求めたのです。「世界に通用する、日本を代表する滞在型ゴルフリゾート」を生み出す力量、改造にあたっての日本の法律の理解力などの条件を満たす専門家を探した結果、ダミアン・パスクーツォ氏に、改造設計を依頼することとしました。
全米ゴルフ場設計家協会元会長のダミアン氏は、USツアーで活躍するスティーブ・ペイト氏と2Pゴルフコースデザイン社を設立し、主にアメリカの西海岸で活躍する設計家です。カリフォルニア州を代表する有名リゾートであるラ・コスタカントリークラブのコース改造や、日本においてもゴルフダイジェスト社が選ぶ「日本のベスト100コース」の上位にエントリーされる小樽カントリー倶楽部(北海道)や紫カントリークラブすみれコース(千葉県)の改造を手掛けたことでも知られています。
現地を視察したダミアン氏は、コースを一巡した後に大胆なアイディアを告げました。
「現在の10番ホールをドライビングレンジにして、17番ホールのパー5をパー3とパー4の2ホールに分けよう。」 今までまったく思いもつかなかった発想が、そこにはありました。確かに、真っ直ぐなパー4をドライビングレンジにしたら、これ以上に気持ちの良い練習場はありません。小林氏からいただいていた、「300ヤード」「18打席」「トーナメント開催期間中の使用に耐え得る芝の打席面積」というアドバイスもクリアしています。
1ホールを2つに分けたことによって、パーは35と37になってしまいますが、その点に関してもダミアン氏は次のように言い切ります。
「ゴルフ場のパーは72でなければいけない理由はどこにも無い。海外の有名コースには、パー70やパー71が多いくらいだ。当然、パー35とパー37の組み合わせでも、まったく問題は無い。」
こうして、ネムゴルフクラブ自慢のドライビングレンジ「0番ホール」と、以前のドライビングレンジの跡地を利用した広大なショートゲーム用の練習場が誕生したのです。
今回のプロジェクトでは、全てのホール改造をおこなったわけではありません。バンカーラインの修正や、ティグラウンドの新設だけに留めたホールも少なくないのです。そんな中にあって、ダミアン氏と小林氏がもっともこだわったのが、アウトコースとインコースの入れ替えでした。
「ラウンドのリズムを考えれば、コースの特長とも言える海岸沿いのホールが後半に来た方が、よりドラマチックな展開になって良いだろう。また、トーナメントを考えるのであれば、最終ホールはある程度の難易度が必要である。」(ダミアン氏)
「海と自然の余韻をより楽しんでもらうためにはアウトとインを入れ替えた方が良い。ただし、トーナメントを視野に入れると18番ホール(旧9番ホール)は、グリーンが単調すぎるため、グリーンをスリリングに改造し、最後まで気が抜けないホールにすべき。」(小林氏)
そこでダミアン氏は、クライマックスを迎えるインコースの後半となる14番ホールではガードバンカーを大きくし、15番ホールではティグラウンドから海を見渡せるように。また、16番ホールではグリーンの位置を海側に寄せ、18番ホールでは難易度の高いホールを設計しました。
「18番ホールはパー5なので、以前は最初から3オン狙いでいけば、比較的簡単にパーが取れていた。しかし、今回の改造ではセカンドショットの狙い目となるフェアウェイにバンカーを置いたので、刻むにしても神経を使わなければならない。また、グリーンのアンジュレーションを強めたので、ドラマティックな終盤の展開が期待できる。」(ダミアン氏)
設計家とプロゴルファーのコンビにより
生み出された戦略性の向上
リゾートらしさに磨きをかけることと同時に意識した戦略性の向上に関しては、USツアーで活躍するスティーブ氏の貴重な意見が生かされています。
「トーナメントの際のセッティングでは、パー5の難易度を高めて安易な2オンを阻み、また、パー3のヤーデージに変化を持たせることが大切だ。そうすれば、キャディバッグの中にある14本全てのクラブが必要になるはずだ。」
海外の有名コースに於いては、コース設計家とプロゴルファーが共同でデザインするケースが多いのも特徴。エド・シーとアーノルド・パーマー、ジェイ・モリッシュとトム・ワイスコフ、最近ではビル・クーアとベン・クレンショーといったコンビが有名で、数多くの名作を残しています。優れたコース設計にはプレーヤーの立場からの適切なアドバイスが不可欠であり、コース設計家はそれらのアイデアをバランス良く調和させているというわけです。
あらゆるレベルのゴルファーに
愛されるコースを目指して
「コースを難しくするのは、非常に簡単なことだ。ヤーデージを伸ばし、ハザードを多くすればそれで良いだろう。しかし、本当に優れたコースデザインというのは、あらゆるレベルのゴルファーがラウンドしても楽しめるコースでなければならない。特に、ネムゴルフクラブはリゾートコースなので、そこには細心の注意を払ったつもりだ。」(ダミアン氏)
「グリーンから中途半端な場所にあるバンカーが多く、大きくミスショットする可能性の高いビギナーや飛距離のないレディスゴルファーに厳しすぎると感じる。」(小林氏)
具体的には、こうしたダミアン氏、小林氏の意見をもとに、バックティからは6,768ヤードながら、一番短いフォワードティからは4,724ヤードという変化に富んだ総ヤーデージに設定するとともにビギナーや女性に不利となるバンカーも埋め戻し、
初心者からアスリートゴルファー、ファミリーから女性グループ、それぞれのレベルに合わせてラウンドできるようになりました。
「いたずらに難しくせず、それでいて何度ラウンドしても決して飽きることがないレイアウト。視覚的にも優れ、いつまでも想い出に残るレイアウト。それが本当の意味での“戦略性が高いリゾートコース”と呼べる条件だ。今回のネムゴルフクラブのコース改造では、それが見事に具現化できたと思っている。それぞれのレベルに合わせて楽しんでもらえれば、それがコース設計家にとっては一番嬉しい。」(ダミアン氏)
運営面においても、大型モニター付きナビシステム搭載カートの導入とともに、天候条件によってはフェアウェイ乗り入れ可能とするなど、よりリゾートらしく、伸び伸びとプレーができるようになります。
百聞は一見にしかず。世界に名だたるスタッフの手によって生まれ変わったネムゴルフクラブで、『至極の滞在型リゾートゴルフ』をお楽しみください。
百聞は一見にしかず。
世界に名だたるスタッフの手によって生まれ変わったNEMU GOLF CLUBで、
『至極のリゾートゴルフ』をお楽しみください。
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